風の通り道をつくる
家のなかを吹き抜ける風の心地よさは、エアコンなどからはなかなか得られません。
また、家のなかに湿気がこもったり、熱気で温度が高くなったりするのを抑えてくれるのも風です。
風通しをよくして、快適な住空間をつくりたいものです。
①家の配置を考える
風通しのよい家づくりのポイントは、「南北に吹く風の通り道」をつくること。
そのためには、まず敷地に対して、どのように家を配置するかが大切です。
とくに密集した住宅地では、隣地との境界ぎりぎりまで寄せて建てることが多いため、風が滞りがちになります。
そうした場合は、敷地に少しゆとりをもたせるだけで、風が通り抜けやすくなります。
②間取りで風の通り道をつくる
間取りで配慮したい点は、風の入り口と出口をバランスよくつくることです。
入口が大きくても、出口が小さければ十分な通風は期待できません。
そのため、南側の窓と北側の窓は、できるだけバランスの良い大きさにしたいものです。
また、入口と出口がストレートな位置関係になるように南北の窓を配置します。
図上のように南側にリビングがあり、北側に水まわりが集中しているプランは少なくありませんが、
せっかくリビングの窓から風を取り込んでも、抜ける道がありません。
こうした間取りは避けたいものです。
一方、図下のようにふすまやドアを開けると南北の窓が一直線上につながる間取りのプランであれば、
心地よい風が家の中を通り抜けます。
このほか、吹き抜けや階段などを利用して、上下に流れる風の道をつくることも、快適度を高めるポイントとなります。
建具で空気の流れをつくる
しかし、風のないときや夜など、つねに窓を開けっぱなしにできないこともあります。
このようなときでも、家の中の空気がよどむような状況は避けたいところです。
そこで、家全体をひとつの大きな空間ととらえ、緩やかに空気が循環している状態をつくるのが理想的です。
たとえば、引き戸やよろい戸(★1)式のドアにしたり、出入り口の上部に欄間を設けたりすると、空気の流れが生まれます。
こうした建具を工夫することも有効な手段となります。
家づくりの基本125参照
★1 よろい戸
幅の狭い羽板が斜めに取り付けられた、日差しをさえぎりながらも通風が可能何戸のこと。ルーバー戸ともいう。