敷地図からつかみたいこと
敷地を取り巻くさまざまな条件は、想像以上に住まいの設計に影響を及ぼします。日照や通風、道路の状況、隣地との関係、法的な要件、敷地の変形や高低など、その項目は多数あります。住宅の面積やかたちがこれらの条件で決まってしまうこともあります。しかし、土地のもつ性質をしっかりと把握していれば、これらを最大限生かした間取りができるはずです。
そこで、まずは敷地図(★1)を見てみましょう。敷地図には、方位、道路の幅、面積を求めるための数値や表が示されています。ここで、境界辺の長さや面積、土地の変形の角度や接道の長さなどを大体把握しておくことが大切です。建て替える場合でも、打ち合わせは図面をベースに進めるので、敷地図を理解できるようにしておきましょう。
現地へ必ず行く
次に、第3章で紹介した建物の面積制限、高さ制限、防火規定の制限などの敷地にかかる法律も調べておきましょう。
現地へ行き、自分の目で土地の状態を確かめることも重要です。敷地図を照らし合わせながら現地を見ることで、図のイメージと実際の感覚を一致させることができます。
注意したいのは、敷地や道路の高低差が敷地図には表示されていない点です。前もって図面に書き込んでおくとよいでしょう。
敷地のチェックポイント
現地でチェックしたいポイント15項目を下にまとめました。
周辺の状況を把握することで、どこに玄関をつくるべきか、高さはどのくらいにすべきか、通風や採光はどのような配置にすれば確保できるかが、ざっくりと見えてくるはずです。
たとえば、図の⑤の接する道路と敷地の幅については、建物の大きさに影響を与えるだけでなく、車の出し入れにも関係してきます。⑧の隣の窓の位置にも注意します。自分の敷地にばかり目がいきがちですが、周囲の建物により間取りを変えざるをえないこともありますので、敷地まわりの建物もよく確認します。⑫の眺望のよいh条項も間取りを検討する際の重要なポイントとなります。
このような細かい点も考えながら、図を参考に丹念に見ていきましょう。
★1 敷地図
敷地丈量図のこと。道路境界線や隣地境界線の長さなどが入り、敷地の方位、形状や面積がわかる図。通常は、土地所有者やハウスメーカーなどからもらえる。
①正確な方位
敷地ラインと一致していることは稀。日照計画にえいきょうするので、敷地が何度くらい振れているかを確認する。
②敷地の高さ
敷地との高低差は人や車んぽアプローチに影響する。スロープや階段の長さも決まる。また、隣地との高低差は隣家に与える(受ける)影の検討に必要。
③接する道路と歩道の幅
道路斜線による建物の高さ制限に影響する。車の出し入れの位置や所要スペースの検討にも必要。
④道路と接する長さ
旗竿地(はたざおち)や狭小地などで、人と車両方のアプローチの検討に必要。
⑤接する道路の交通量
2つの道路に接する場合など、車の出し入れ位置の検討に必要。プライバシーに影響する場合もある。
⑥塀の高さと材質
プライバシー、日照、通風、眺望に影響。生垣なのか、ブロック塀なのか、フェンスかなども確認。
⑦境界から隣家までの距離
プライバシー、日照、通風、眺望に影響を受ける(与える)。とくに隣家が迫っている場合は要チェック。
⑧隣地建物の窓の位置
互いのプライバシーに影響。その窓が何の部屋にあたるのかも確認。リビング前にトイレがきたり、寝室どうしが鉢合わせしないように。
⑨水道・ガス・下水管の取り出し位置
建物配置、水まわりの位置の検討が必要。
⑩側溝(そっこう)の位置と幅
ポーチやカーポートの排水、雨水排水の方法の検討に必要。溝ふたのつくりなどもわかるとよい。
⑪電柱・電線・支線の位置
人や車の出入り位置に影響。電柱や支線とアプローチがぶつからないようにする。
⑫眺望のよい方向
公園や隣地の庭など眺望のよい方向があれば、部屋のゾーニングや窓位置を工夫し、借景として生かしたい。
⑬周辺建物の外観・町並み
新しい建物は既存の景観を壊さないデザインで、できれば町並みに寄与したい。周囲の様子を少し先までチェック。
⑭街路樹の位置・樹種・高さ
車の出入り位置の検討に影響。借景として取り入れる可能性も考えられる。
⑮敷地内の樹木の位置・高さ
建物配置や形状に大きく影響。枝張りもチェックする。樹木を残すと建設時の作業に影響する場合もある。
家づくりの基本125参照